人間関係の極意「相手は変わらないかもしれない」

「周りの人との人間関係をよくしたい」との相談をよく受けます。「奥さまがいつも怒ってばかりなので、気が休まらない。もっと優しくなってほしい」「子供がちっとも言うことを聞かない。もっと自主的にやってほしい」「職場の上司に意見が言えない。もっと優しく接してほしい」「部下が気が利かない。自分から学ぶ意欲を見せてほしい」「友人が自分の悪口を言っているようだ。やめてほしい」などなど。人間関係の悩みは、所属する集団の数に比例して、増えてくるようです。

人間関係において、知っておくといいポイントは2つあります。

1つ目は「相手は変わらないかもしれない」ということです。困っているのはこちら側であって、多くの場合(100%ではありませんが)、相手の方は、あまり悩んでいません。その関係に満足はしていないかもしれないけど、困ってはいないのです。だから「相手は基本、変わらない」ということは心に止めておかれるといいと思います。

2つ目は、「相手に◯◯してほしい」から「私が◯◯しよう」に変える、ということです。例えば、「奥さまが怒ってばかりだ。じゃあ、自分はどう対応を変えたらいい?」「子供が言うことを聞かない。じゃあ、自分はどう伝え方を変えたらいい?」などに、変換します。ただ、この時、注意しなければいけないのは、「自分が、今までの態度ややり方を変えたら、相手の態度は改まる(よい方向に改善する)はず」と思ってしまうことです。これは「期待」です。「期待」はどんどん膨れ上がっていき、過大な妄想に近いものになっていきます。自分の態度ややり方は、よい方法を知れば、自分の本気度でいくらでも変わります。でも、相手は、こちらの変化をどう受け入れるか、分からないのです。そして、「改善するだろうと期待」した分だけ、「改善しなかった(変化しなかった)」という状況に凹んでしまうのです。

ですので、「相手との人間関係をよくしたい」と思う場合、「自分のやり方を変える」ことに焦点を当てて、色々と試していきます。そして、この時、「自分は変わった。きっと相手にもこの思いは伝わって、変わってくれるだろう」と「期待」しないことが、とても大切になります。