やる気を継続させる方法

決めたことを継続するには、「できている!」「続いている!」ということを、目に見える形で表すことが必要です。

 

 

その1つに、「トークンエコノミー」という方法があります。「トークンエコノミー」は行動療法の1つで、トークンとは代用貨幣のこと。例えば、「ジョギングをする」という行動に対して、できたら、カレンダーに丸をする、シールを貼る、などして、「10個たまったら、お気に入りのカフェに行く」「20個たまったら、素敵なお店でランチする」などの報酬を与える方法です。

「◯◯をがんばったご褒美」というフレーズは聞いたことがあると思いますが、子供にも大いに効果があります。ある相談者の方は、お子さんのピアノの練習に使われました。表を作り、練習するたびにシールを貼ります。そのシールが10個たまると鉛筆を、20個で消しゴム、、、と100個まで褒美を決められました。

実は、この相談者の方は、最初にこの方法を採用するかどうか、すごく迷われました。「子供に褒美を与える」ことに戸惑いを持たれたからです。特に、「物を買い与える」ということに違和感を感じられました。「物で釣っているみたいで嫌な気持ちがする」と思われましたし、何より、「ピアノの練習をすることはピアノを習っているんだから、当たり前のこと。当たり前のことをして、褒美なんて、、、」と率直に思いを述べられました。

 

私は、「大人の私たちも、褒美がなくても継続できますか?」と質問しました。例えば、晩ご飯を作る。これは家事と1つとして、当たり前のようにやっています。でも、作っても家族が誰も「おいしい」と言わなかったら、「ありがとう」の一言もなかったら、おいしいものを作るというモチベーションを持ち続けられるだろうか?きっと、やる気は失せていきませんか?と続けました。

 

すると、その方は、「確かに! 子育てや家事で頑張ったとき、夕飯の買い物をするついでに自分だけのスイーツを買ったり、カフェでコーヒーを飲んだりします。これって、ご褒美ですね!」とおっしゃいました。 私は、「ご褒美があるから当たり前のことができる、って思いませんか?」とお答えました。

実際に、この方法を試すようになって、2つの変化があったそうです。1つ目の変化は「ピアノの練習をしなさい!!  」と言わなくても、お子さん自ら練習するようになったこと。それまでは、気分にムラがあるお子さんに、何度も「練習しなさい!」と言って、お子さんも相談者の方も不機嫌になっていました。ですが、トークンエコノミーを取り入れてからは、相談者の方が「今日も表に花丸がつけられるかなあ〜?」と言うだけで、すぐにやり始めるそうです。(お子さんは何か他に夢中になると、他が見えなくなる時があるので、促す感じで声かけだけはしているそうです)

2つ目は、お子さん自ら、宿題に関しても表を作って、できたら花丸をつけ始めたのだそうです。おかげで、小学校から帰ってからのリズムができ、自発的にやるので、相談者の方は「よくがんばったね〜」とほめるだけ。お子さんも褒められて、ニコニコだそうです。

この表は、本人がよく見えるところに貼ることも効果的です。また、同じ箇所に「10個たまると鉛筆、20個たまると消しゴム、、、」と書いた紙も貼ることで、「あと、◯回やったら、鉛筆だね!!」と自覚できます。

「物を買い与えるなんて、教育によくない」という意見もあり、私はその意見を否定するつもりはありません。「◯◯しなさい!!」と言わなくてもいいお子さんには必要のないことだと思いますが、そのようなタイプのお子さんばかりではありません。誰だって、怒りたくありません。おそらく最初は「◯◯やろうね〜」と優しく言い、でも、やらない。なので、だんだん腹が立ってきて、「◯◯しなさい!!」と怒ってしまう。怒ったお母さんは「また、言ってしまった」と毎回、自己嫌悪を感じることになって、褒める余裕も失ってしまう。怒られたお子さんとの関係もギクシャク。・・・負のスパイラルに突入です。

それが、促す言葉をかけるだけで、お子さん自らやる気を持って取り組むので、お母さんに余裕が生まれます。そんなお子さんの姿を褒めることができます。褒められたら、きっとお子さんも嬉しいと思います。・・・プラスの状態に入ります!