心理カウンセラーの八納慧果(やのうさとか)です。
「私は人と話すのが苦手なんです。何を話していいのか、考え込んで言葉を選んでいるうちに、話題は次に変わり、そこでもなんて返事をしようかを考えているうちに、時間がたってしまって。だから、人と会った後はヘトヘトになります」
「私は人と話すのが苦手なんです。何を話していいのか、考え込んで言葉を選んでいるうちに、話題は次に変わり、そこでもなんて返事をしようかを考えているうちに、時間がたってしまって。だから、人と会った後はヘトヘトになります」
「会話が苦手だ」とおっしゃるHさん(女性)。
あるとき、仕事(美容関係)でのことについて相談されました。
「私は話すことは苦手なので、事務のみの採用だったですが、人が足りなくなって、エステを受けられるお客様の最初のカウンセリングをすることになりました。初対面の方にはとりわけ緊張するので、どうしようかと思ったのですが、これまでにカウンセリングをした半数の方に継続していただいています。店長からも、エステの講習を受けて、エステティシャンとしてやっていってもいいのでは?と言われています。ただ、人と話すのがやはり苦手です。どうしたらいいでしょうか?」
そこで、実際にカウンセリングを行なってみて、どの感じたかを尋ねると、
「マニュアルがあるので、不思議なくらい緊張しなかった」とのこと。
今後、接客の仕事をやってみたいか?と尋ねると、
「挑戦してみたい」とのことでした。
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さて、Hさんは本当に話すことが苦手なのでしょうか?
Hさんはカウンセリングした半数の方がエステの継続を希望されました。この数は、かなりの好成績です。だからこそ、店長がHさんにカウンセリングを仕事内容に含むエステティシャンを進めたわけです。
つまり、Hさんは「マニュアルがあり、目的がはっきりしていること」会話は、むしろ得意です。
一方で、明確な目的がないおしゃべり(雑談)は苦手としています。それは、雑談には「マニュアルがなく、明確な目的もない」からです。
ですが、雑談をしている時も、Hさんは次のようなことを考えているようです。
・こんなこと言って、相手に変に思われないかな?
・この会話の正しい答えはなんなのだろうか?
相手の顔色を見て、相手が好むような会話を瞬時に察して、返答をしようとする。このような高等テクニックは、例えば会社での重要なミーティングや他社との競合会議で駆使されるもの。それを、単なる雑談で行なっているので、疲れるのは当たり前です。
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でも、これはエステのカウンセリグのような仕事においては、大きな才能になります。
エステのお客様は「美しくなりたい」「こんなエステが受けたい」と明確な目的をお持ちです。何を望み、どのような施術を受けたいのか、を推測し、会話を続け、その方に向いているエステの種類を定めてから、マニュアルに従って説明をしていくことは、普段の会話で高等テクニックを駆使しているHさんにとっては、本領発揮と言えます。
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「会話が苦手」と悩まれている方には、元来人と話すのが苦手な方もいらっしゃいますが、Hさんのように、マニュアルがあって、目的がはっきりしているという条件なら、むしろ、饒舌になる方もいらっしゃいます。
「会話は苦手」と一括りに考えるのではなく、状況や場面によって異なることに気づくと、Hさんのように才能を発揮するきっかけになります。
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Hさんは店長の提案を受け入れて、カウンセリングを含めたエステティシャンの仕事をするようになりました。
真面目なHさんは、マニュアルをほぼ暗記して、想定されるいくつかのパターンの頭に入れて、会話の練習をいつもされているとのことです。