「怒り」を感じた時、どうされますか?押さえ込みますか?発散しますか?発散するなら、どんな方法を取っていますか?
怒りを出さずに、自分の中にためると、”発酵”していきます。もともとの怒りはそんなに大きなサイズではなかったのに、熟成されて、巨大な怒りに変貌を遂げます。
もともと、怒りを出さない人の特徴として、「自分が悪い」という認識があります。例えば、人からひどく注意された(相手はひどく怒っていた)とします。自分ではミスをした覚えもないし、周りに聞いてもそんなことはないらしい。そのような場合、通常は、相手に「どうして?」と理由を尋ねると思います。でも、「自分が悪い」という考えにとらわれている人は、「きっと、私が悪いんだ。ミスしたつもりはないけれど、怒りを買うだけの理由があるんだ」と納得してしまいます。
明らかに自分がミスをしたのなら、怒られても納得するでしょう。ですが、「自分が悪い」というフィルターがかかっている人は、例えば、「隣りの家の夫婦が喧嘩をしたのも、自分のせいだ」と考えてしまうほど、なんでも「自分のせい」と考えて、起こっていることを見てしまいます。
そんな時は、「何が起こっているのかを客観的に見る」必要があります。物事を一段上から見る、俯瞰することが必要です。ただ、いきなり俯瞰するようにできるわけではないので、練習していくことになります。まずは、周りの人に状況を話して、客観的な意見を聞きます。家族でもいいし、友達でもいいです。自分のこととして聞くのが難しい場合は、「知り合いがね、、、」という感じで、第三者のこととして話し、「こう言う状況なんだけど、私が悪いよね?」と聞いてみましょう。おそらく、質問された人ほぼ全員が「あなたは悪くないよ」と答えると思います。つまり、「ミスしていないのに、怒りを伴って怒られるのは、理不尽なことだ」という、新たな認知(ものの見方)が加わります。これが、「ものごとを俯瞰してみる」ということです。
そして、次に行うのは、相手に伝えるということです。相手に自分の意見を正確に伝える方法、「アサーショントレーニング」の練習が必要になります。アサーショントレーニングとは、簡単に言うと、「相手の気持ちを害することなく、自分の言いたいことを伝える方法」です。ただ、今まで相手に自分の気持ちを伝える、ということをしていない人は、ちょっと難しいと感じてしまうかもしれません。なので、これも練習が必要です。
例えば、仕事で上司が「このミスは君がしたのだろう」と注意してきた、とします。これは勘違いだと言うことがはっきりしています。が、伝えるのが苦手な人は、次のような伝え方になってしまいます。
・上司に遠慮して、「自分のミスではない」とはっきり言えないが、反省の言葉も出せないため、上司から「君は失敗したことに対する反省も謝罪もないのか」とますます怒られる(または、呆れられる)
・自分のせいにされそうになったことに腹を立てて、「私じゃありません!!!」と怒りをぶつけるような言い方をして、「そんなに怒らなくてもいいじゃないか」とますます怒られる(または、呆れられる)
このような状態になると、相手との関係はますます悪くなり、相手に真意は伝わらないので、相手の対応も変わりません。
次のような言い方がアサーションの一例になります。
「このミスはとても重大ですね。ですが、この仕事は私がしたのではありません。でも、このようなミスが起きないように、これから、私も気をつけてまいります。ご忠告、ありがとうございました。」
これは1例ですが、相手を立て、自分の主張もきちんとする言い方です。
アサーションには練習が必要です。これまでに、うまく伝えることができなかったシチュエーションを思い出して、実際のセリフをノートに書いていきます。そして、口頭練習します。覚えるくらい繰り返します。(英語の学習と似ています。英語の定型文を覚えて暗記して、応用していくのと同じ要領です。)そして、同じようなシチュエーションが起こったときに、覚えた通りに言ってみる。うまくいったら、セリフを応用していけばいいですし、うまくいかなかったら、また、書き直したらいいです。このような実践の繰り返しが、財産になっていきます。
そして、何度も繰り返すうちに、状況に応じて、言葉が出てくるようになります。