「また、同じことをぐるぐる考えてる…」
「もう考えるのはやめたいのに」。
そんな風に、自分を責めながらもネガティブ思考から抜け出せない人は、実はとても多いのです。
家族や仕事の人間関係など、様々な役割に追われ、「こうすべき」「こうあるべき」と自分を抑えてきた方は、
ふとした瞬間に心が疲れきって、過去の失敗や人間関係でのモヤモヤが、何度も何度も頭の中で再生されてしまう…。
それが“反芻(はんすう)”です。
朝、少し落ち込んだ気持ちでスタートした日が、気がつけばもう夕方。
「結局、何もできなかった…」と強烈な自己嫌悪に陥る。
このような日が繰り返されると、自信をなくし、心がだんだん重たくなっていきます。
でも、そんな自分を「性格のせい」「心が弱いから」と責める必要はありません。
実はこの思考グセには、きちんと“対処法”があります。
それが「実況中継」という方法です。
これは、認知療法に基づいたシンプルな方法で、次のように行います。
例えば、「私、この先どうなっちゃうんだろう…」という不安が頭に浮かんだら、
「“将来が不安だな”って考えが、今、頭に浮かんだな〜」と口に出します。
声に出せないときは、心の中でつぶやくだけでも構いません。
ポイントは、「ネガティブな言葉そのものを消そうとしない」こと。
あえて言葉にすることで、“自分=思考”という一体化から距離をとることができます。
これは、脳に「これはただの考えだ」と教えてあげるような行為です。
最初は反芻のクセが勝ってしまい、なかなか効果を感じないかもしれません。
ですが、繰り返すことで、少しずつネガティブな渦に巻き込まれなくなっていきます。
実際、小学1年生の女の子が、お母さんのサポートでこの方法を実践したところ、
この女の子は、気がつくと、ネガティブな気持ちが吹っ切れて、大好きなお絵かきに夢中になっていたのです。
「いつもは、ネガティブを長く引きずるのに、その何分の一かの時間で終わりました!」
と、お母さんが嬉しそうに報告してくれた例もあります。
大切なのは、「考えないようにしよう」と無理に止めるのではなく、
「ただ、そこに浮かんできたな」と受けとめ、流していく感覚です。
ネガティブな思考を否定せず、
焦らず、ゆっくり、そしてやさしく、向き合ってみてください。