部屋の散らかりは心の散らかりーー心理カウンセラーがすすめる整理術

「いろんなことが起きて、何から始めたらいいかわからない」
「頭の中がぐしゃぐしゃで、整理がつかない」
「思考が止まっていて、何から手をつけたらいいか分からない」

そんな状態になることは、誰にでもあります。

理由はさまざまですが、心理カウンセラーとして多くの方と接していると、その一因として意外に大きいのが 、
「部屋が整理整頓できていない」こと。

「頭の中の状態は、部屋の状態に現れる」と言われます。
確かに、部屋が散らかっていると目に入る情報が多すぎて、脳は常に小さなストレスを受け続けます。

たとえば、ある50代女性の方はこう話してくれました。

「仕事も家事も重なってパンク状態だったんです。
でも、何もできなくてリビングに座り込んでいたら、
周りに散らかった本やDM、出しっぱなしの洗濯物が目に入って、
ますます気が遠くなりました。」

散らかった環境にいると、脳は「未完了のタスク」が常に目に入り「まだやってないことばかり」という焦りや罪悪感を生み出します。
結果、 気持ちは落ち着かず、論理的思考ができなくなり、さらに思考停止に陥る。
まさに悪循環にハマってしまいます。

こんな時こそ、有効なのは「体を動かす」こと。

「よし、やるぞ!」と気合いでやる気を出すのは難しい状態でも、体を少しでも動かすとエネルギーは自然と動き出します。

掃除はその最適な方法のひとつ。
・手を動かす
・空間が整うことで視覚情報がスッキリする
・達成感が得られる

こうした効果が短時間で得られるからです。

ただし、思考が止まっている時は「掃除すればいい」とすら思い浮かばないこともよくあります。
そんな時のために、
「思考が止まったら、体を動かす」
「とにかく5分だけ掃除する」
などの一言メモを冷蔵庫やパソコンのそばに貼っておく
のがおすすめ。
目に入るだけで、行動のきっかけになります。

実際に掃除をして環境が整うと、不思議と頭の中も整理され、こうした思考に変わってきます。

「一度にいろんなことをしなければならない」
1つ1つ順番にやろう
優先順位は信頼できる人に確認してみよう
過去に似た状況はどう乗り越えたか、振り返ってみよう

この「冷静に考えられる状態」を取り戻すだけで、物事は少しずつ前に進んでいきます。

人は「環境」にとても影響を受けます。部屋の整理は、心の整理につながる。
これは単なる片付け術以上に、心理的にも大きな意味を持つ行動なのです。