クライエントのQさんから次のような相談を受けました。
要約すると、次のようなこと。
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同じ職場に、Qさんより少し年上の明るい同僚がいる。Qさんは気づきが早く仕事も速い一方、その同僚は丁寧だがゆっくりめ。指示や確認をお願いする場面が増え、やがて同僚はあいさつより先に「やりました!」「注文済みです!」と報告を最優先するようになった。Qさんは「まずは朝のおはようの挨拶では?」と思ってはいたが、言えずにいた。そして、最大の謎、「なぜ、年上の彼女はまず報告なのだろう?」
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Qさんに伝えたことをまとめると、、、。
この「いきなり報告」は、失礼というより「置いていかれたくない」「忘れていません」という合図です。
とくに相手が年上の場合、年下からの指示が増えるほど、面目を保ちたい気持ちが強くなります。
笑顔で頑張りながらも、心の中は「私、ちゃんとやってます!」でいっぱい。だから最初に出るのが報告になるのです。
とはいえ、年上の方に「順番を直しましょう」と直接言うのは難しい。
そこで“人”ではなく“段取り”を主語にして、やわらかく整えます。
コツは三つです。
①感謝を先にのせる
「朝一で報告ありがとうございます。とても助かります。」
年上の立場を立てる一言が、緊張をほどきます。
②自分のお願いとしてそっと伝える
「朝はまだ切り替え中で…最初に“おはよう”を交わせると助かります。
そのあと、急ぎの用件→細かい確認の順で声をかけてもらえますか?」
“決まりごと”ではなく“私のお願い”として伝えると、年上の方にも角が立ちにくい。
③任せ方と着地点を明確に
「○○は◻︎日までを目安に、途中で迷ったら一度だけ合図ください。仕上がりはメモ一行で十分です。」
細かい“途中確認のタイミング”まで決めると、報告が落ち着きます。
例えば、実際のやりとりとしてはこんな感じです。
同僚「値札の訂正、済ませました!」
Qさん「ありがとうございます。助かります。——おはようございます。
そのあと、急ぎの二点だけ一緒に確認させてください。終わりはメモ一行でOKです。」
この段取り(感謝→お願い→任せ方)を一週間ほど続けると、朝いちの空気が柔らかくなり、報告は落ち着きと丁寧さを取り戻します。仕事の速さそのものはすぐに変わらなくても、緊張が減るぶん、うっかりミスが減り、質問も早く出るようになります。
年上の同僚に気を遣いながら関係を紡ぐ鍵は、「立てる」「そっとお願いする」「任せる」。人を直すのではなく、流れを一緒に整える。それだけで、へりくだったように見える報告は、信頼のやり取りへと変わっていくのではないでしょうか?