先日、「自分の才能をいかした仕事がしたい。だけど、その才能ってどう探したらいいのでしょう?」という相談を受けました。
こうした声は本当に増えています。
子育てや仕事に追われてきた人ほど、ふと一段落したときに「私は何が好きだったんだろう?」と、自分に立ち返る瞬間が訪れるものです。
「才能」というと、どうしても特別な才能を持つ人を想像してしまいます。
でも本当は、誰の中にもあります。
しかも、多くは子どもの頃からすでに姿を見せています。
相談者の方は、小さい頃、お人形遊びが大好きだったそうです。
キャラクターに心が生まれ、頭の中で勝手に動き出す。
セリフや場面が自然に浮かぶので、何時間でも一人で遊んでいられたと言います。
「男なのに人形遊びは恥ずかしい」と思われたくなくてやめたそうですが、「あれが一番たのしかった」と笑って話してくれました。
こういう“ささいに見える遊び”ほど、才能がぎゅっとつまっています。
たとえば、このお人形遊びから読み取れる力は、実はこんなにあります。
・キャラクターの気持ちを想像して動かす → 人の心を読む力
・世界観や物語を自分で作る → 想像力と創造性
・何時間でも集中して遊ぶ → 集中力の高さ、持久力
・配置や場面を工夫する → 場の構成力、デザイン力
・一人遊びが苦にならない → 自分の内側から遊びを生み出す力
一見、ただの遊びに見えるのに、これだけの才能が隠れています。
多くの人が見過ごしてしまうのは、この“当たり前すぎる才能”です。
子ども時代は自然体すぎて、自分では気づくことができない。
でもそこに、その人らしさの核があります。
大人になってから才能を探すには、
「子どもの頃、夢中だったこと」
「だれにも習っていないのにうまく出来たこと」
この2つをていねいに拾い集める作業が欠かせません。
ただ、いきなり自分だけで思い出すのは意外とむずかしいものです。
昔のアルバムを見るだけで胸がきゅっとなる人もいますし、家事や仕事に追われて時間が取れない人もいます。
そんな時は、周りの人の記憶を借りてください。
親、兄弟、幼なじみなどに、
「小さい頃の私はどんな子だった?」と聞いてみる。
想像以上に、忘れていたヒントが出てくることがあります。
そしてもうひとつ効果的なのは、昔のノートや作文、卒業文集を読み返すことです。
そこには、大人になる前の「素直な気持ち」「好きでたまらなかったこと」が、そのまま残っています。
カウンセリングでは「才能日記」をよくおすすめします。
お子さんのいる方には特に。
これは、お子さんの才能を見つけるためでもあり、同時に自分自身の才能を思い出すヒントにもなります。
書くのは、とても小さなことです。
「教えていないのにできてしまうこと」
「時間を忘れて夢中になっていること」
これを毎日少しずつ、短い言葉でいいので書き留めます。
「毎日なんて無理」「書くことなんてない」と最初はみなさん言います。
でも、“才能を探す目”で子どもを見はじめると、意外なほど多くの力が見つかります。
たとえば、粘土遊びが好きなら、
「青と白を混ぜてできた水色に大よろこびしていた」
「大人の私には浮かばない色の組み合わせを自然に作っていた」
絵が好きなら、
「家族を犬の目線で描いていた」
「背景の細かいところまでよく見ていた」
こんなふうに、ちょっとした行動の中に、その子の“深い力”が隠れています。
最初は気がのらない方も多いのですが、
「これを18歳の誕生日プレゼントにしませんか?」
と提案すると、皆さん急に目が輝きます。
18年分の「あなたのここが素敵だった」を受け取る。
これは、大人になった子どもにとって、何よりの宝物になります。
そして書いていた親自身も、自分の中の眠っていた才能に、ふと気づく瞬間が訪れます。
才能は、特別な人だけが持つものではありません。
子ども時代の何気ない遊びの中にも、静かに息づいています。
そして、その種は、大人になっても消えません。
気づいてあげるだけで、また動き出します。
あなたの中にも、ずっと眠っている力があります。
少しずつ、思い出してみてください。