ひとり時間は、家族にやさしくなるための準備だった

夫婦で話す時間を作るのは大事です。

そして、同じくらい大事なのが、「ひとりになる時間」です。

特に、夫婦で一緒に仕事をしていて、仕事と生活の境目があいまいな人。
子どもが小さくて、朝から晩までべったりの人。
家にいても、頭の中がずっと家族のことで埋まっている人。

こういう状態が続くと、心は休めません。体は座っていても、心がずっと働かされっぱなしだからです。

「ひとりになっても、何をしたらいいか分からない」
「子どものことが気になって、逆に落ち着かない」

この反応は、あなたが弱いからではありません。
長い間、妻として、母として、仕事の相棒として、ずっと“誰かのための自分”で回ってきた証拠です。
急にスイッチを切れないだけです。

たとえば、こんな場面がよくあります。

夫と同じ仕事をしている。
家でも会社でも会話は仕事の話ばかり。
夜、ようやく寝る時間なのに、頭は明日の段取りでいっぱい。
気づけば、ため息が増え、笑う回数が減っていく。
こういうときに必要なのは、夫婦会議を増やすことより先に、「ひとりで頭を空っぽにする時間」です。

子ども中心で生きてきた。
久しぶりに自分の時間ができても、スマホで家族の予定を確認したり、子どもの連絡を待ったりして、結局休めない。
「休んでいいはずなのに、休めない」って、地味にしんどいです。
ここで大事なのは、“気がかりが出てきてもOK”として、短いひとり時間を積み重ねることです。

親のこと、家のこと、仕事のことが同時にのしかかっている。
「誰かに頼ると迷惑かな」と思って、全部ひとりで抱えがち。
こういう人ほど、ひとり時間を取らないと、ある日いきなり心が折れます。
折れてから休むと、回復に時間がかかる。だから先に休むんです

私も、娘が小さい頃は「預けてまで自分だけカフェなんて、楽しめるはずがない」と思っていました。
案の定、いざ行ってみても、落ち着きませんでした。
「泣いてないかな」「寝られてるかな」と気になって仕方がない。
実際、預け先から「泣き止まない!」と連絡が来て、駆けつけたこともあります。

でも、人は慣れます。
大事なのは「最初からうまく休もう」としないこと。
最初は落ち着かなくて当然です。

そこを超えると、だんだんひとり時間が待ち遠しくなります。
不思議と、預け先からの連絡も減っていきます。
そして、ひとりで息を整えたあとに、自然に「早く子供に会いたいな」と思えるようになります。
これは、家族を大事にできている証拠です。

ひとり時間は、わがままではありません。家族のための準備です。

まずは週に1回、30分でいい。いや、10分でも、5分でもいい。
先に、手帳に入れてください(ここが重要です!)。
カフェでも散歩でも、車の中でもいい。
「誰にも邪魔されない時間」を確保する。

それが、「自分を取り戻す時間」になります。
これがないと、夫婦の会話も、子どもへの優しさも、どこかで空っぽになっていきます。
自分を戻す。真っ先に、予定に入れていいものです。