「相手に伝えたいことが伝わらない」時はこう考えよう!

 

恋人との意思疎通がうまくいかず悩んでいる、と、Aさん(男性)から相談を受けました。Aさんの恋人は外国の方で、2人の共通言語は英語(2人とも母国語ではない)です。

Aさんは生き方や考え方について学ぶことが大好きで、自分の気づきを恋人に伝えたいんだけど、英語力がないから、細かなニュアンスが伝わらずに、最後には相手を怒らせてしまう。私がかつて英語の教師をしてたので、どうしたら英語が上達して、うまく伝えられるか教えてほしいとのことでした。一通り、英語の学習方法をお伝えした後で、次のように言いました。

「でも、恋人が怒るのは、英語力の問題ではないですよ」

「え? どういうことですか?」とAさん。「昨日もケンカしたとのことですが、どんなことを伝えたんですか?」

Aさん:「最近学んだ人間関係のことです。セミナーに行って学んで、すごくおもしろかったから、恋人にも教えてあげようと思って」

確かに人間関係のことを英語で説明するのは難しいです。でも、普段の会話も、お互い母国語でない英語で会話するということなので、2人とも努力して話し、聞いているはずです。

 

「教える」側のAさんは、学んだことを伝えたくて仕方がない。でも、Aさんの恋人には、あまり興味のないことのよう。Aさんの思いが強ければ強いほど、相手には「押し付け」のように感じられるのです・・・。ここまで伝えると、Aさんは「う〜ん」と考え込んでしまいました。

私はAさんに質問しました。「どうして、Aさんは人間関係のことを学ぼうとされたんですか?」Aさんは「周りの人との人間関係をよくするのに役立つと思ったからです。もちろん、恋人ともです。それと、恋人が人間関係に悩んでいる時があったので、役立つのでは、とも思いました」と答えられました。

 

私はAさんに次のことを尋ねました。「そのことを恋人に伝えましたか?」するとAさんは、「そこまで、詳しくは言ってないです。言わなくても伝わっている、と思うのですが、、、」と言われました。それに対して、「あまり伝わっていないと思います。まず、伝えるのは、Aさんは恋人との仲をもっと深めたいと思った、ということ。そうでないと、恋人はAさんが得た知識を聞かされているとしか感じられないのです。例えば、『その人間関係を学んだことで、君ともっともっと話がしたくなったよ』とか、『その人間関係を知ったことで、君ともっと仲良くなりたいと思ったよ』とか、Aさんが恋人とこうしていきたい、と思われていることを話されてはいかがでしょう」と伝えました。

 

続けて、「これは言語の問題ではないのです。日本語でも同じことが言えます。Aさんが興味のないこと、例えばアイドル歌手のことを一生懸命話されても聞く気になりますか?それと同じです」Aさんはアイドル歌手には全く興味がなかったので、この例えに大きく納得されました。

言語が違うと自分の言語能力が足りない、と思いがちですが、言葉はエネルギーです。もちろん、細かなニュアンスを伝えるのは語学習得の勉強は必須ですが、人の思いはエネルギーで伝わります。母国語でない言語だからこそ、思いが直球で伝わるのです。

「相手に言いたいことが伝わっていないな」と思う時、それは、使う言葉の選択や言い方ではなく、本当に伝えたいことほど伝わっていない可能性があることが多いです。