支配的な母親から自立された女性(前編)

30代のCさん(女性)と支配的な母親との話です。
C さんの母親はCさんのことを何でも把握しておかないと嫌なようで、何にでも口を出してきます。30歳も過ぎ、立派な大人なのに、仕事のこと、恋愛(結婚)のこと、食事のこと、服装のことなど、何にでも、自分の考えを押し付けてきます。基本は、Cさんのこと否定するような考えです。これはCさんが子供の頃からずっとそうだったようで、「親とはそんなものなんだろう」と思っていたが、友人と母親との関係を聞いたとき、「私の母親は行き過ぎだ。自分たち親子は異常なのではないか」と思うようになったそうです。
Cさんは「異常」とおっしゃいましたが、この「異常事態」は今ではよくある光景です。「一卵性親子」という言葉があるように、少子化の影響で親(特に母親)は子供に目をかけ、手取り足取りお世話をします。以前なら、反抗期にこのような関係は解消されていましたが、今は、反抗期がない人が多いので、この関係は大人になっても、結婚した後でも続いてしまいます。
伺ってみると、Cさんも反抗期らしい反抗期はなかったとのこと。母親は口出しをするが、母の言う通りにしていたら、機嫌はいいし、Cさんにとても優しく、なんでもやってくれます。 以前は「なんでもやってくれる」ことを疎ましく感じる自分を責め、母親に申し訳ないと思っていましたが、今は、本当に嫌で嫌でたまらなくなっていました。これからも自分の人生を母親に支配されていくのかと思うと、吐き気がするようになった、とおっしゃいました。
こういう場合、提案するのは「母親と距離を取ること」です。一卵性でくっついていて、母親との距離感がつかめない人が多いので、「母親と子供」という関係でなく、「大人同士」としてどういう距離感がふさわしいかを探っていく必要があります。人によって異なりますが、一般的には、次のようなことで距離感を探っていくことを提案します。
・一人暮らしを始める。
・母親と連絡を一切取らない、または回数を減らす。
・メールや電話がかかってきても、毎回対応しない。
・こちらから母親を誘わない。できれば、誘いにも乗らないか回数を減らす。
・母親の考えにむやみに同意しない。